FIBAワールドカップ順位決定戦NZ戦~P&Rの攻防における違い~
土曜出勤だったので追っかけでNZ戦を4Qの頭まで観ました。
NZ代表の相変わらずの「ウイニングイレブンか!」的な超攻撃的スタイル以上に気になったのは、DAZN解説板倉さんが序盤に発した「日本のP&R、効いてないんですよね…」という言葉でした。
ここで「何故効いていないのか?」を説明しないあたり何ともなのですが、気になったことをまとめておきます。
・プロレススタイルだった日本のディフェンスと、アマレススタイルだったNZのディフェンス
「何言ってるの?」となるでしょう。これはP&Rのスクリーンセットに対するディフェンスの違いです。
P&Rはボールハンドラーに対してスクリーンをセットし、ドライブを仕掛けることでディフェンスのずれを生み出し、二人目のディフェンス、さらに三人目のディフェンスを見ながらシュート、インサイドへの合わせのパス、コーナーへのキックアウトなどを実行する攻撃手法です。
「そんなことは分かっているよ!」という声が聞こえてて来ます。すいません。けど一度、言語化したほうがこの後の説明が楽になると思い、説明しました。
P&Rの起点はスクリーナーのセットです。ニック選手がセットに行こうとした際、NZ代表選手は全力でこのスクリーンセットコースに入り、執拗にフィジカルコンタクトをとってきました。これにより、セットのタイミングと、スクリーンの位置や角度などの精度が狂ってきます。何より、セットに時間がかかるので、その分相手のショットクロックを削れるわけです。
今回の試合では見られませんでしたが、最悪の場合、ハンドラーが我慢しきれず、セット前のスクリーナーに自分のディフェンスをぶつけてしまい、イリーガルスクリーンをとられる可能性もあったと思います。
一方、日本のディフェンスはどうだったでしょうか?私にはスクリーン後のディフェンスの事ばかりに注意が行っているように感じました。つまりP&Rに対する「受け身のディフェンス」いわばプロレスの流儀です。
これに対して、NZ代表のディフェンスは地味にセットを狂わせるところから注力する、いわばアマレススタイルと言ってよいでしょう。地道なところをしっかりつぶしていった結果が相手のタフショットに繋がっていくわけですね。
この部分は、日本代表だって真似できる要素ですし、おそらく意識してやっている選手もいるんだと思います。それでも私が気になったということは、そこに差があったということなんだとも思います。
このアマレススタイルとの遭遇が今後、Bリーグにどのように反映されていくのか?
観戦する側もこういう細かいところにも注目していくと、バスケがもっと楽しくなるかもしれませんね。
これからの日本バスケを担う人材〜今季はこのチームに注目?〜
タイトルからして「まだワールドカップ終わってないよ!」というツッコミが聞こえてきそうですが、ワールドカップが終わるのを待っているとBリーグがすぐに開幕してしまいますので、敢えてこのタイミングで。
国内で開催された強化試合、日本ベンチの後方にいた人物。
ドウェイン・ケーシー氏?いや、違います。そっちじゃなくて。
勝久ジェフリー氏、藤田弘樹氏、少なくともこのお二人は確認できました。
アンダーアーマーのウエアを着用して、日本代表のコーチングスタッフとして帯同しておりました。
この中から、藤田氏は本大会でベンチ入りしてベンチ内で通訳としても活躍しておられました。
このように、代表のサポートコーチともなるとS級ライセンス保有者が当たり前になってきます。
(両氏ともB1でHCの経験があることからの推測ですが)
この2人(以外にもいたかもしれませんが)は、世界的に実績のあるラマスHCのバスケを近くで学ぶ機会を得た、とも言えます。
このように日本の若いコーチングスタッフがラマスHCの下で仕事をする構図というのはアジア予選の頃から始まっていました。
アジア予選の時、代表のベンチにいたのは、前田顕蔵氏。今季からHCとして秋田ノーザンハピネッツを指揮します。
前任のジョゼップ・クラロス・カナルス氏の激しいディフェンスを踏襲しつつ、彼がどのようなバスケットをコートで表現するか?特に昨季の課題であったバックコート陣の得点力をどのように解決するのか?そこにラマスHCの下で学んだ事はどう反映されるのか?
日本バスケがこれから向かうのはどこなのか?それは19-20シーズンの秋田ノーザンハピネッツが教えてくれるのかもしれません。
そして前述の2人も再びBのコートでHCとして指揮を執る日が来るはずです。この2人にも注目ですね。
Bリーグ、世界を知りどこへ向かう?
アメリカ戦はライブで見れました、バスケットボールのバボさんです。
Bリーグ発足後、初のFIBAワールドカップという事で、普段はBリーグ観戦が中心というファンの皆様におかれましても、世界のバスケを見るいい機会になっているものと思います。
苦戦が続く男子日本ですが、アジアであれだけやれたのに、なぜ?という方も多いのではないでしょうか?簡単に考察していきます。
・ゲームの運動強度の違い
NBAを筆頭に、世界のバスケはハイペースなトランジションゲームを軸にした、コート上の5人がスリーポイントライン上で攻防できるスタイルがメインストリームになっています。スクリーンなどによる激しいフィジカルコンタクトの中であってもガンガン走って、ガンガンスリーポイントを打ってきます。この次元に付き合うとなると、B1でやっている選手でも運動強度の面では厳しくなると推察します。Bなら決められるシュートを落とす、というのは不慣れな運動強度下で心拍数が上がっているからでは?と考えます。B2→B1の壁も根本的なところはこの強度なのかな?と思っています。
・Bリーグの特殊性
運動強度の差が生まれる理由は、Bリーグの多くのチームがとっている戦術による影響が強いと推測しています。例えば昨シーズンの新潟や富山、三河などに代表される、ポストのビッグマンにボールを入れ、タメを作り、ディフェンスが収縮したタイミングでインサイドアウトからの3P、この比率が高いことが典型例なのではないでしょうか?
あとは、ハイピックに対してアンダーを出してもガードがそのままスリーポイントを打つケースが少ないですね。世界はアンダー出したら即打ってきますし、決めてきます。ハンドオフからのピックプレーについても同様です。
そういったバスケットボールとの接点が少なければ、当然守り慣れてもいないわけです。ワールドカップ直前の親善試合から、日本が相手チームに面白いようにスリーポイントを打たれていたのはこれが理由だと考えています。
代表戦がまさにBリーグの現在地を指していると言ってもいいでしょう。
・まずは「どこへ向かうか?」
世界を知り、日本の課題を知るきっかけとなり、日本バスケ観戦者の試合を観る目が飛躍的に進化するかもしれない今回のワールドカップですが、日本はどっちの方向に進むべきか?トレンドに向かって追走するのか?それとも敢えて逆打ちをして、今のスタイルを昇華させるのか?さらに、その時の国際舞台で戦う上での課題は何か?
こういった事を頭に思い浮かべながら観戦すると、今までと違った試合観戦の楽しみになるかもしれませんね。
オフもあっという間に終わりです。もうすぐ4年目のBリーグが始まります。
スポーツ”観戦”とスポーツ”応援”
けど全然違うことを書きます。
タイトルは”観戦”と”応援”としました。
けど書くことは一つだけ。
「好きな人には申し訳ないがスティックバルーンって邪魔なんだよね」
ということです。
スティックバルーン、こんなやつですね。
叩くとバンバン大きな音が出るのでニッポンチャチャチャ向きの応援ツールではあります。
思いませんか?試合中に目の前の視界を遮るんですよ、この子!
「どうせ写真撮るとき邪魔なだけでしょ?」という読者の意見が手に取るようにわかります。ええ、聞こえてきますとも…。
その通りです。前方席を取れなかった時にスティックバルーンなんて配られたらもうお手上げです。AF設定によってはあいつらピントを引っ張っていきますから…。
当然主催者の意向で配布されていることもございます。「長いものには巻かれてなんぼ」が身上の私も普段は黙っているしかありません。
しかし、今一度考えていただきたい。安くないチケット代を支払った挙句、目の前で変な棒が右往左往する、これでいいのだろうか?と。
観戦文化として、道具に頼らず会場が盛り上がる仕掛けが必要なのではないでしょうか?
スポーツが産業として発展していくために必要なことだと思っています。
(なんか最近、文句ばかり言ってるな…)
素人による素人のためのゲームレポート~日本vsニュージーランド~の前の話
台風10号接近中でやることがないバスケットボールのバボさんです。
8月12日、千葉ポートアリーナにて開催されたAkatsuki Five強化試合のニュージーランド戦を観戦してきました。
合わせてバスケットライブで観戦した第二戦も所感をまとめていきます。
…と言いたいところなのですが、まずはゲームオペレーション面で感じたことを書きます。
オフコートトピックス
・二つ前の席にケガで離脱した富樫選手登場、案の定サインを求めてファン殺到
・今まで見た中で最多であろうメディアの大盛況ぶり
・全席指定の功罪、というか罪
・配線類はもっとちゃんと固定してほしい
私、ただのチアさん好きではなく、色んな会場で各チームがどのような運営、設営、対応を行っているのかを見るのも好きなんですね。
まず1つ目ですが、前に座らせるなら座らせるで、スタッフの配置が薄い。ファンが殺到することを予想していなかったとしか思えない(もしくはその逆、わざとか)。そもそも、なにもそんな前の席を設ける必要はない。何なら2F記者席が空いていたように見えたので(安全に見れる、という意味でも)、そこでよかったのではと思います。
2つ目は、今が勝負どころの日本バスケなのでやむを得ない部分もありますが、緑のビブス着用のフォトブースに入れる人間が多すぎる印象を受けました。あれではエンド席に座った皆さんの視界がどうなるか?恐ろしい話です。
(ちなみに、アリーナSからタイムアウト、ハーフタイム中に写真を撮影しているときに、緑のビブスを着た人が画角を横切る写真を何枚か撮りました。)
フォトブースに入れる上限の人数をもう少し絞ってほしいものです。
3つ目は国内で国際試合をするときには留意してほしいものなのですが、応援団を形成するための自由席エリアはあったほうがいい、ということです。だいぶ苦労されているようでした、とだけ記しておきます。
4つ目は論外です。人が歩いただけで固定が外れて動く配線、スタッフさんに手を挙げてその場で直してもらいましたが、あれでは試合運営そのものに支障が出てしまいます。テレビ放送もあったのですから試合中の電気系統のトラブル、そこからの試合中断は絶対にあってはなりません。何より、安全面で問題があります。設営の不手際でお客様が怪我をするなんてことはあってはならないのです。Bリーグの会場であれば、(基本的に)どこの会場も当たり前のようにやっていることです。
JBA仕切りの設営、運営は業者を使ってやっていると思いますが、そのほとんどをボランティアが賄ってくれているBクラブの設営、運営よりも質の悪さを感じました。リーグ戦のチケットより高い額を支払っている以上、こういった悪目立ちは避けてほしいものですね。がんばれ!JBA!
そして、各Bクラブの運営ボランティアの皆様におかれましては、改めて感謝申し上げたいです。
さあ、次回は試合編です(書くのか?)
オツカレ!サクレ〜ロバート・サクレ引退〜
お昼下がりに急に発表されたこちら。
https://www.hitachi-sunrockers.co.jp/news/detail/id=13781
ロバート・サクレ引退のお知らせ…。
特にサンロッカーズファンというわけでもないのですが、サクレにまつわる思い出を写真を添えて綴ろうと思います。
当時、NBAを全くチェックしていなかったバボさんにとって、twitter のタイムライン上で盛り上がる「サクレ、サンロッカーズに入団」祭り、正直言って、あまりピンときてなかった事を覚えています。
そんな彼に初めて遭遇したのは16ー17シーズンのB2ファイナルの日。彼は観客として現れて一日中目の前で行われているゲームを楽しんでいた。ファンからのサイン、写真撮影にも快く応じており、「すごいいいヤツだなぁ…」と感じました。
大都市とはいえレイカーズ時代とは違い、街中を歩いていても気づく人は殆どいないという環境は彼にとってとても新鮮で、快適なものだったのではないだろうか?
初サクレは17ー18シーズンのブレックス戦@錦糸町(写真は酷かったのでなし)、その後アウェイ川崎戦
顔が隠れてしまったのは残念だが、姿勢、打点の高さ、マークマンとの距離の取り方、お手本にしたいフックシュート。こういうフックを打ちたい。
そういえば18ー19に入る前のオフシーズン中、柏のB &Dの近くでライアン・ケリーと一緒に歩いているのに遭遇したこともありました。完全に柏に馴染んだNBA経験者2名…、すごい時代になったと感じました。
結果としてバボさん的ラストサクレになったのがドルフィンズ戦@名古屋
「試合前、ボールをチェックしながら動かした目線の先にボールを被ったおじさんがいた」
そんな顔をしていると思います。
サクレのダンクも面白い構図で撮れました。
これからは家族との時間を大切にする、という事なのでまずはしっかり家族サービスといったところでしょうか。
ありがとうサクレ、たまには日本に遊びにきてね。
(考察)育成年代のスポーツと価値観
変なタイトルになりました。
7月25日、こんな事がありました。
賛否両論、ネット上でもテレビでも様々な立場からの様々な意見が飛び交っておりました。
この記事で感じたこと、考えたことを自分の忘備録を兼ねて書いておこうと思います。
(忘備録ですよ、忘備録。)
〈育成年代のスポーツは誰のためのものか?〉
高校野球に限らず、高校サッカー、高校バスケも人気の高い競技で、根強いファンが多くいます。バスケの立場で例を挙げるならば、高校バスケの頂上決戦であるウインターカップの決勝は朝から場外の行列が物凄い事で有名です。
確かにファンが多い一方で、競技体系そのものが「誰のためのものか?」を忘れてはなりません。きつい言い方をすれば、この年代の選手はファンの期待なんて気にしなくていいです。育成年代だからこそ、プロ以上に「プレイヤーファースト」でなくてはならないと思うからです。無理を美談として感動している民衆は無視していいです。
〈学生スポーツゆえにある、多角的な価値観〉
プレイヤーファーストとはいえ、諸般の事情で「高校を以ってスポーツから一線を退く」人もいます。そういった人たちのほうが多いでしょう。そういった大多数の中に一握りの「超高校級」が混ざっています。これも事態を複雑にします。
「負けたら終わり、行けるところまで行きたい」選手と「この後、10年、いや20年近くその競技で収入を得る可能性のある」選手がチームとして、一つの目標に向かって活動していくのです。今も昔も、これが学生スポーツの構造なのだと思います。
〈社会的背景の変化〉
少子化に伴う人口減少により、スポーツ人口そのものが減少していく中、プロスポーツへのアプローチも当然、変化していかなくてはならないと考えます。
従来型の学生スポーツをメインストリームにしたプロスポーツへの階段、この構造を見直さなくてはならないと思います。
〈先行するサッカー、追随するバスケ〉
「学生スポーツ以外のプロへのステップアップ」で真っ先にサッカーが思いつく人が多いと思います。Jクラブが強化組織を編成してアンダーカテゴリをトライアウトして育成する。このステップから多くのプロ選手、日本代表選手が誕生しているからも実績を残しており、一定の役割を果たしています。
バスケに関しても男子はBクラブの多くがU15までの強化組織を持っています。今後U18まで拡張していく流れになっています。横浜ビー・コルセアーズU15所属だった田中力選手は中学卒業後、多くの競技でプロアスリートを輩出しているアメリカのIMGアカデミーに進学、夢はNBAです。この動きがU18まで拡張されればバスケもプロ選手へのステップが複数存在する流れに乗ることになるでしょう。
〈育成年代に必要な環境〉
コストなどのデメリットはありますが、学校部活以外の選択肢が増えることが理想と考えます。町のクラブでもいいです。とにかく、学校に依存しない形態で、体の成長とそれに潜む怪我について正しい知識を持った指導者に教えてもらえる環境が注目されるようになれば、様々な価値観を吸収できるようになるのでは?と思います。